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名古屋地方裁判所 昭和61年(わ)1974号 判決

本店所在地

愛知県岩倉市八剱町大門出先二八番地

三州食品株式会社

(右代表者代表取締役 岩月忠和)

本籍

愛知県愛知郡日進町大字岩崎字野田五番地の三七

住居

右同所

会社役員

岩月忠和

昭和一四年一一月七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官赤根智子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人三州食品株式会社を罰金二三〇〇万円に、被告人岩月忠和を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人岩月忠和に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人三州食品株式会社(以下被告人会社という。)は、肩書地に本店を置き、加工卵の製造等を目的とする資本金九〇〇〇万円の株式会社であり、被告人岩月忠和は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統轄するものであるが、被告人岩月忠和は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、期末棚卸高及び売上の各一部を除外するなどの方法により所得の各一部を秘匿した上、

第一  昭和五七年九月一日から昭和五八年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億五五五五万〇二一七円で、これに対する法人税額が五九九八万二九〇〇円であるのに、同年一〇月二九日、愛知県小牧市大字小牧字東浦一九五〇番地小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八六〇七万七〇四九円でこれに対する法人税額が三〇八二万七五〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二九一五万五四〇〇円を免れ、

第二  昭和五八年九月一日から昭和五九年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二億〇七七九万三九三〇円で、これに対する法人税額が八四九六万三五〇〇円であるのに、同年一月二七日、前記小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九六七七万九一九九円でこれに対する法人税額が三六九一万〇四〇〇円である旨の虚偽過少の法人税額定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額四八〇五万三一〇〇円を免れ、

第三  昭和五九年九月一日から昭和六〇年八月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億三九九六万一五三八円で、これに対する法人税額が五四四七万〇一〇〇円であるのに、同年一〇月三一日、前記小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億一三六五万四九五八円でこれに対する法人税額が四三〇八万八八〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一一三八万一三〇〇円を免れ

もって、それぞれ不正の行為により法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  被告人作成の昭和六一年五月二二日付及び同月三一日付各上申書

一  登記官作成の商業登記簿謄本

一  岩月千枝、森誠、玉置保雄、加藤正義(二通)及び芝範次郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(四通)及び「脱税額計算書説明資料」と題する書面

一  検察事務官作成の電話聴取書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五七年九月一日から昭和五八年八月三一日までのもの)

一  小牧税務署長作成の証明書三通(いずれも昭和五七年九月一日から昭和五八年八月三一日までの事業年度分についてのもの)

判示第二及び第三の事実について

一  被告人作成の昭和六一年四月三日付上申書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五八年九月一日から昭和五九年八月三一日までのもの)

一  小牧税務署長作成の証明書二通(いずれも昭和五八年九月一日から昭和五九年八月三一日までの事業年度分についてのもの)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五九年九月一日から昭和六〇年八月三一日までのもの)

一  小牧税務署長作成の証明書二通(いずれも昭和五九年九月一日から昭和六〇年八月三一日までの事業年度分についてのもの)

(法令の適用)

被告人らの判示各所為は、毎事業年度ことに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に各該当するところ、被告人会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人岩月忠和については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金二三〇〇万円に、被告人岩月忠和については同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年にそれぞれ処し、被告人岩月忠和に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年問右刑の執行を猶予することとする。

(裁判官 高原章)

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